• グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家@国立西洋美術館
    • 光源の力を感じさせる絵でインパクトはあるんだけど、でも立川に住んでそうなやせ気味のオッサンのヌード(ジョニデ風)を延々と見せられても飽きるよって感じ。常設展の方はもう少し時間使って見たかった。
  • ダブル・インパクト 明治ニッポンの美@東京藝術大学大学美術館
    • まずこう拳を立てて第一撃を加える。そしてその第一撃目の衝撃が物質の抵抗とぶつかった瞬間、拳を折って第二撃を入れる。すると第二撃目の衝撃は抵抗を受ける事なく完全に伝わり石を粉砕する。
    • ダブル・インパクトといっても和洋両面を比較配置したのは前半だけで、それ以降の日本画が成立するまでの絵画史を丁寧を追った展示構成がよかった。近代国家が立ち上がると共に芸術においては国粋主義が台頭してきて、やっぱりカビザシを佩いた神武天皇明治天皇御真影の融合固体くんを・・・最高やな! という展開もいい。
    • ところでボストン美術館所蔵の小林永濯《七福神》は「前から見えるお尻」の系譜に位置付けられと思うんですけどどうでしょうか。
  • 動物絵画の250年@府中市美術館(後期)
    • 前期展示の半券持ってると半額だったので。前期ほどの驚きは無いけど、虎の表現を見比べるのは楽しかった。
  • 尾形光琳300年忌記念特別展 燕子花と紅白梅 光琳デザインの秘密
    • 紅白梅図屏風》が段違いに良くて、他は燕子花図屏風含めてまあ別に……宗達の《扇面散貼付屏風》も良かった。企画展の出品点数が60作で1/4は小西家文書のデザイン下絵みたいな地味な展示なので物足りないものの、庭園も楽しめるので値段相応かなーと思った。でも1Fホールが仏像、展示室が光琳、2Fは廊下に英国の宝飾時計、中の二部屋は青銅器と光琳って構成はだいぶ闇鍋感が。
  • 鳥の楽園−多彩,多様な美の表現@三の丸尚蔵館
    • 別の用事で昼に東京駅まで来てたので皇居散歩ついでに。小規模な展示なのであれこれ言うようなものでもないけど、竹内栖鳳の《薫風稚雀・寒汀白鷺》があってラッキーだった。皇居・東御苑は白人観光客が多かった。
  • 速水御舟とその周辺@世田谷美術館
    • 速水御舟の作品だけでなく、彼の所属していた赤曜会メンバーや弟子の作品を交えて、当時の画壇に迫るという企画コンセプト。同門のライバルとされる小茂田青樹がいちいち画題を被せてきてるのがよく分かって面白かった。でも観に来た甲斐があった作品となるとそんなに無くて、御舟ファンの情報補完用かな。追悼記事の展示が充実してるあたりに人間模様を楽しんでもらおうというカップリング脳的な意図が感じられて、大正画壇4コマ待ったなし。
    • 陸の孤島と言われる世田谷美術館に初訪問だったけど実際アクセス悪すぎて次回再訪はかなりハードル上がった。駅からアクセスするだけで往復2キロは・・・特に帰り道の疲労感がつらい。
  • 高橋コレクション展 ミラー・ニューロン@東京オペラシティアートギャラリー
    • 別用でオペラシティに行ったついでに。入ってすぐの部屋一面の水玉おばさんニキとか奈良美智とか村上隆とか、既に評価が定まった人達の作品多数を鑑賞出来たのはよかった。展示作にかなり近づけるのもいい。名和耕平と山口晃が1作だけだったのと、会田誠のもう何度も見たよこれ感は少し残念。
    • 1つ上のフロアで同時開催してた収蔵品展「3O+A」の方は思ったより見応えあって、奥山民枝の方向性は全般的に自分好みというのと、パンフ表紙にもなってた有元容子の《静かな時》がとてもよかった。廊下スペースで展示された富田直樹の油絵も新鮮だった。また見たい。
    • 企画展の図録見本を読んだけど、コレクター高橋龍太郎のアートを巡る半生を語録と共に振り返るみたいな巻末の構成は太鼓持ち杉で若干引いた。
  • シンプルなかたち展:美はどこからくるのか@森美術館
    • フォルムそのものがもつ美しさに迫る、というコンセプトだったように思う。入ってすぐに展示してある月桂樹の葉の化石や、手のひらで石を回す映像がまさにシンプルかつ強烈な魅力を持ってて引き込まれました。プランクーシの《空間の鳥》も改めて観ると格好いいね。東大数理研から石膏の数理模型が出てたのも良かったけど、どうせならモニターでグリグリ動かせるCGモデルでも見たかった。あとピカソの《雄牛》が流石に天才の所業という感じだった。
    • 同時開催の展示:MAMコレクション001に出てた下道基行のtoriiシリーズも面白い写真でした。
  • 没後30年 鴨居玲展 踊り候え@東京ステーションギャラリー
    • チラシの絵がオーラ放ってるなーと興味があったものの、それ以上の感動は……。見る人の心を捉えるいい絵ではあるのだが、主題とか作風とか表現とかにあまり幅が無いので、観続けてるうちに厚みとか奥行きとか深度とかも感じられなくなってしまったのが残念。
  • No Museum, No Life? ?これからの美術館事典-@東京国立近代美術館
    • 日本の国立美術館5館が主催する、美術館自体に焦点を当てた展示。美術品修復や会場設営、ウェブ評価までを展示してみせて、総体としての美術館を問うという姿勢がイカす。美術館自らが表現主体として前面に出た展示は意欲的だったが、そこから事典的な知識の共有以上の結果を上げるにはなかなか……。謳うテーマは大きかったが持て余してしまった印象。国立美術館5館の合同展といっても実際の割当リソースはだいぶ限定されてたのだろう。ルーブル・メトロポリタンとの年間運営費内訳を示した「Money」の項目は、公的補助に頼りきった日本の美術館運営の厳しさをシンプルに見せていてよかった。
  • ヘレン・シャルフベック―魂のまなざし@東京藝術大学大学美術館
    • 《快復期》の絵がいいなーと思って行った企画展だったがいい絵だった。描かれてる人物、少年だと思ってたけど。男性画家と婚約して破棄されて、新たに出会ったが向こうに結婚されて、という人間模様で絵を読み解く流れに少しうんざりしたが、図録では《快復期》は画家本人の心境変化というよりもメジャーデビュー売れ線狙ったんじゃないかなーと解説されてて面白かった。ただ作品はバリエーションがあるものの、他の画家からインスパイアされたものが結構多いし、自作の再解釈焼き直しも出てくるとあって、ちょっと画題ネタ不足じゃない? という気分になった。