• 小田ゆうあ『斉藤さん』2巻
    • 暗い現代社会においては子育ても漠然とした不安でいっぱい。な世の中で我が正論を貫き通す「斉藤さん」と、傍目に迷惑だと思いつつも斉藤さんの言い分に次第に動かされ、子供と二人三脚の子育てを全うしていく主人公の触れ合いストーリー。斉藤さんの反体制的ともとれる信念や、アンチである周囲の思惑・小学校受験塾や幼稚園側の主義にかなり過激な側面があるので、人によってはイデオロギー的な恐ろしい反発感を憶えるかもしれません。でも一方的な論理の押し付けに陥らず、柔軟な展開で止揚させる作者の手腕は一読の価値あり。「クリスマスに子供に高価なゲーム機を買うのはこれ如何に?」という話はとても良かった。例によって斉藤さんと主人公の両ツンデレ漫画として読むことも出来るよ。どうでもいいが朝日のコミックガイドで1巻が薦められていたときは、ちょっと南信長を見くびってたと反省しました。
  • ひぐちアサおおきく振りかぶって』8巻
    • もう8巻も・・・アニメは円陣組んで「にしうらーぜっ」で終わりなのかなあ。アフタヌーン掲載時はそのコマの柱に“最終回じゃないよ、これからだ!”といういかにも打ち切りプロトタイプな文句が入っていて死ねた。単行本でインフィールドフライの解説を読んでも未だに犠牲フライがなぜ犠牲フライなのかいまいち分からない非野球ファンなので、試合より日常話でアベミハしてくれた方が楽しいと思ってます。しかし三星学園との練習試合の頃は全部面白かったので、今のアニメは本当に面白いですね。単行本の感想? 雑誌掲載時の各話区切りがどこだったか探すの超楽しい。そしてアベミハ。
  • 稲荷家房之介『百日の薔薇』2巻
    • 雑誌コミックAQUAでは数少ない優良作品の1つ。BLと架空戦記が理想的な出会い方をした稀有な例、というかこれ以外の例がない。一級の絵柄・一級の萌え・一級のプロットで全編にわたって読み手を捉えて離さないこの物語は、是非BL好き以外のマンガ読みにも読んでもらいたい。BL描写自体はそれほど本編と絡んでこないし。ただ一級のプロットは2巻に入って話のスケールがぐっと広がったので、AQUAという新人の育たない微妙な雑誌を足場にしてどこまでやっていけるのかという不安も増してきました。ちゃんと完結するかということは最近の架空戦記についてまわる問題のようです。