• 高山しのぶ『MR.MORNING』1巻
    • 一迅社単行本買うのはこれがはじめてかも。『あまつき』の展開がいよいよ分からなくなってきた高山先生の、ゼロサムWARDシリーズ連載作です。シベリア鉄道のような大陸間を走る機関車の客室乗務員たちを描いたマンガ。例によってキレイで爽やかな野郎が沢山出てくる乙女ゲーのような設定は少し戸惑うけれど、ゼロサムの宿命だと思えば全体的に目に優しい。各話間に描き下ろしの形で過剰に世界観紹介が出てくるのは作者がそれだけこの話に力を入れているということか。いかにもゼロサムスクエニな読み手を選ぶ演出に多少目をつぶれば、比較的うまいストーリーで一風変わったファンタジーになってます。読みきり形式でややマンネリ人情話から、この単行本の終わりでようやく大きな陰謀が動き始めた感じで今後が楽しみです。
  • 江平洋巳『白いバラの乙女』
    • フラワーズ最新号ではやくも新連載をはじめた作者。そろそろ単巻で幕引きしちゃう「ちょっといい話」から成長してがっつりデカい話を描いて欲しいな・・・。「父親と子供」「母親と子供」「思春期を迎える子供」とこなしてきて、今作はずばり「思春期まっただなか」の直球少女。舞台は女子高とくれば百合、サスペンスも隠し味に入れてなんと隙の無いことか。しかし展開が変に考えすぎているのか、よく出来てる話だと思いつつも単純に楽しめなかった。読み手にとっては『ちいちゃんとおばけ図書館』くらい筋の通った分かりやすい話が親切だと思うが、作者自身悩んでいる様は見てとれるので難しい。何にせよもう一段階踏ん張って欲しい・・・というのに尽きます。
  • 真鍋昌平闇金ウシジマくん』8巻
    • 何巻でも描けるんだなあ闇金融社会の話って。極限状況に陥った人たちがツバ撒き散らして怒ったり狂ったりしている中で、「目を近づけると目の中に水晶みたいなキラキラしてるのが見えてキレイ」とかいきなりポエムをぶつけられるから油断できない。こういう夢見がちな青春臭いのが作者の素なんじゃないかと思う。