• きづきあきら+サトウナンキ『いちごの学校』
    • 掲載誌のアワーズプラス休刊により宙に浮いてしまった連載が、描き下ろしの最終話をつけて見事単行本化にこぎつけた作品です。コミックシードというマイナー誌デビュー、もともと冷徹でどぎつい位のメッセージ性を強い求心力とした作風に加えて、絵柄もぎこちなさが抜けない*1ときて、この作者(達)は本来かなり読み手を選ぶ部類のはず。にも関わらず今や色んな出版社で仕事をこなすちょっとした売れっ子作家*2という躍進のほどは目を見張るものがあります。作者もこの状況にわりと自覚的で、毎回毛色の違う作品を連発しているのは、発表の機会が豊富にあるうちに、なんでもやりたいように描こうという姿勢の表れではないでしょうか。様々な出版社をその都度パトロンとした芸術家の側面が強いというか、最近の単行本ラッシュは「描き散らす」というのがしっくりくると思う。手抜きという意味ではなくて。

作者についての雑感(上からの物言い)になっちゃったけど、淫行教師の責任何ぞやというこのマンガはまさに問題提起・投げっぱなしで、完結して閉じているというよりも読者に呼びかけるのを狙いとしているような実験的試みのにおいがしました。

*1:デビュー連載2作目で絵柄を大きく変更した

*2:次の連載は幻冬舎