• 原作/倉田英之×漫画/星樹ハンド×レッド』2巻
    • 100年に1度目覚める主人公という設定が足かせになってないかと1巻の感想では書きましたが、2巻ではめでたく過去編が始まり普通の学園友情ファンタジー(おデコもあるよ!)になりました。あらすじは1巻参照。これから主人公が友達だったルカと敵対したり100年の呪いがかけられるようになった次第が語られるのでしょうが、目下は学園を襲撃してきた魔法使い達とのバトルに終始しそう。星樹の売れ線な絵で描かれるキャラクターはみな魅力的ですが、中でも学園長の孫という七光りで威張っている同級生が、典型的な悪役かと思いきや憎めないぐうたらという好人物になっているのが面白かったです。2巻を買おうかは正直迷っていたけど、倉田原作も調子が良いようだし引き続き購入で。しかしマガジンZで描いていた頃とはかなり絵柄が違うんだなあ。絵師の成長というものは・・・
  • 山口雅也『生ける屍の死』
    • 全米各地で死んだ人が意識もはっきりと蘇るという事件が起きている中、葬儀屋を営む地元の名士である大家族の元、ニューイングランドの片田舎に帰郷した主人公が殺人事件に巻き込まれる。それも自分自身が殺される形で。例に漏れずゾンビとして蘇った主人公は果たしてこの事件を解くことが出来るのだろうか(てんてんてん)? という話です。
    • ミステリ・推理小説をよく読んでいた記憶が主に小学生低学年の頃の『怪人二十面相』あたりまでさかのぼってしまう自分にとって、山口雅也というと幻冬舎の「ミステリーBst.(ビィストリート)」で霜月かいりがコミカライズして箱舟に乗る乗らないみたいな話やってたっけ・・・という印象なんですが、思うところあって購入。単行本の裏表紙であらすじを読むと「何故蘇りが起きるのか?」「人が蘇る中で殺人をする必然は?」という2つの疑問が浮かぶわけですが、前者はノータッチ・後者が解説アリ。死生観の問答が文章で占める割合の多い小説でしたが、そんなに説教臭さはなくて各人の語る死への考え方がキャラ付けとよくマッチしてて読みやすかったです。文章もレトリックというか、細かい表現に遊び心があってこういう上手い人のは飽きないなあと。肝心のトリックと謎解き種明かしについては、読むはしから自分の推理を組み立てていくような熱心な読者でなくても、ちゃんと面白さについていけてほっとした次第。結末は少し余韻を残しつつもあっさりとしたもので、探偵と助手である主人公とヒロインの関係やいかにと期待していた分ちょっと残念だったけど、まあ本格ってそこまで心情描写寄りにはしないものなんかなと。