• 河井英槻『月曜日の約束』(リブレ出版
    • 同タイトルで2年前にでたマガビ単行本を、リブレになってからの新装版で発売。収録分はいくらか変更があり、BOY'Sピアス・AQUA・JUNEでの仕事を集めてきた一方で自社雑誌掲載作はわずか2つのみ。リブレへの貢献はそれほど盛んでないのに何故今になって新装版、しかも豪華装丁で、というのは現在季刊ペースでマガビに連載している「王子と乞食」の単行本化とのつながりがあるんでしょう。少なからぬ量の他社作品をこの単行本にまとめてきた担当さんの努力がうかがえました。
    • 河井英槻は年の差、特に小生意気な児童と半端にスレた青年のカップルを十八番とするBL作家です(コナンのパロに定評があるといいますか、最もそういう人は今みんなデスノのパロに移ってますが)。童心ではしゃぎながらもどこか子供でいられない影があって、強気受けで乱れっぷりがエロい。擬音を手書きではなく大きなタイプ文字で表す特徴があり(ジャンルは全然かぶりませんが駕籠真太郎も昔同じ演出をやってました)、時に画面の邪魔だがハマると静けさを強調した面白い効果があります。
    • 内容について話を戻すと、持ち前のダウナーな雰囲気がうまくストーリーに沿えばいいんですがなかなか発揮できず、結果ラスト2ページでいきなり欝になって終了したような温度差が生まれてしまっているのが惜しい。短編で器用にまとめるのは難しい。これに関しては旧装版が出たときにビブロス側の力不足だなあと思ったけれど、今の連載長編である「王子と乞食」については問題ないようだし、そちらの単行本化に期待。

でも河井英杞名義の頃の『チャオ,マイダーリン』のエロさには霞むなあ・・・生産量の少ない人だが大洋図書のHertZ辺りでまたしっかりやってくれないかなと思う。