• 遙々アルク『ビター×スイート』
    • 「この世の人間がみんな死んでしまえばいい そしたら誰とも口をきかずにすむ」  他人がわずらわしくて、ひとりでコーヒー屋で読書をしていた俺にきざったらしい2枚目がへらへら話しかけてきた。無視していたのに勝手に一目ぼれだとかうそぶき出すし、人を動揺させて遊ぶだなんて陰湿なやつだ・・・という話です。説明になってない? 
    • 河井英槻のと合わせ、このマガビ新刊2冊は表紙絵に失敗していると言わざるを得ない。遙々アルクは良く言えば写実的な、悪く言えば白目がちで目付きの険しい異様な雰囲気を持ったキャラが特徴ですが、人を選ぶ絵柄のせいもあってか不思議と一部で熱狂的なファンを持つマンガ家です。人間不信の主人公がある日突然告白され、とまどいながらも相手に心を開き次第に周囲とつながっていく、という過程を掌編連作で描いた表題作はそこそこいい話に仕上がっています。が、正直なところどの話もアルク先生のよさがあまり出ていなくて同人的なファンにはやや物足りない感も。知らない人に薦めるのはちと難しいので感想を一言だけ。主人公がキャフェーで読書中の本が何度か出てくるんですが、『夏への扉』と『流れよわが涙〜』ですねこれ。作者はSF好きなんかな・・・同人でも「スローターハウス」ってタイトルのややSFチックなのがあったし。

スローターハウスといえばこの単行本とは無関係にちょっと前からヴォネガットを読んでます。読んだ順に
タイタンの妖女』:めちゃんこ面白い
ガラパゴスの箱舟』:手法は面白い
『猫のゆりかご』:ガジェットは面白い
て感じ。もう何作か読むつもり。上遠野浩平はレムと同様にこの作家の影響受けてるんじゃないかなあアイス・ナイン(『ペパーミントの魔術師』)だけでなく、という気がしました。上遠野信者なので。