• 小川幸辰 『エンブリヲ』3巻(エンターブレイン BEAM COMIX)
    • 出産するシーンがそれまでの流れを無視して処女懐胎サイコウという雰囲気になっていた(と感じた)ので物凄いロリコン臭がしました。まあ良い悪いで言えばそれよりもヒロインと虫のグレートマザーの対立がよく分からないまま霧消してしまったとか、ウロボロスが象徴的な演出の割には普通の話だとかの方が惜しいか。とはいえ最近はここまでパワフルなマンガにそうそう出会えないので、知らない人は読んで損しないと思うよ。
  • 久米田夏緒 
    携帯寓話 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

    携帯寓話 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)

    • ケータイ+女子コーセー=頭からっぽ? の、はてな部分を丹念に描いた連作集。単行本の装丁が凝ってて素敵。雑誌で読んだ記憶があるのは3話と6話でしたが、まとめて読むと1・2話がとてもよかったです。実際、携帯電話を切り口で連作ってかなりハードルが高いと思うし、キャラの設定はもっと活用できたのではと感じましたが、それより若い子のビビッドな感性がめちゃ描けてて凄いです。惚れます。刹那的・浅薄でタブロイド思考なはずの新人類が、実はその軽さと裏返して同じくらいの熱を持っている。具体的に言うとバカだけどちゃんと考えてて時々キレるよみたいだが、とにかくそこまで踏み込んだ視点で女子高生を描ける人ってはじめてだと思う。ゼロサムWARDに載った「ボクラノキセキ」も是非連載化してください。
    • 特に2話で将来の展望について親から「美大なんてちょっと絵が好きなだけで気軽にいける場所じゃないからよく考えろ」と言われて、主人公が「知ってるよそれくらい! あたしだってちゃんと考えて言ってるんだよ!」て反論するところがいい。「知らなかった」て本音がト書きで書いてある。うわーリアルだなあって読み進めると更に兄が「お前の頭だと近くの短大か女子大だろ」って畳み込むのがやばい。そこまで書いちゃうか。