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- ジョージ・R・R・マーティン 『フィーヴァードリーム』上下巻(東京創元社 創元ノヴェルズ)
- これまで読んできたマーティン先生の完結作の中で最も面白かったです。吸血鬼モノというと他は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」を子供の頃に観た記憶しかないですが、吸血鬼=「夜の人々」、人間=「家畜」の関係を19世紀アメリカ南北戦争前の黒人奴隷制度と重ね合わせた本作は、2人の主人公の友情や蒸気船のロマンといった要素もいいトコ取りしててゴージャスでした。「ショウ・ボート」が観たくなった。場面転換の自然さ、人間臭く感情豊かなキャラクター描写、平易でいてニヒルさを伺わせる語り口、そして同時にわずかな詩情。マーティンの特徴が遺憾なく発揮されていてファンはたまりません。とっつきやすさも一番なので、『氷と炎の歌』に躊躇している人に激しくお勧め。