• 小野拓実『他人の欠点』(笠倉出版社 カルト・コミックス)
    • ジュンク堂で購入。“レディコミに身近な家庭物を提示したTAKUMI名作集”という宣伝文句がカバーについてるけれど、昔のレディコミって現実離れした舞台ばっかだったのかなあ。鬼嫁姑系の増刊誌とレディコミの橋渡しになった人というのが近いんじゃないかと思いました。主婦生活のちょっとした場面が、すっきりして読みやすい絵なのに泣きたくなるくらい陰惨に描かれててやばい。結婚は人生の墓場。家庭は地獄の縮図。子供は不和の元凶。といった真実を淡々と容赦なく教えてくれるので、読んでいると結婚願望が消え失せて未来に希望が持てなくなる恐ろしい本ですね。不幸モノは「救われなさすぎワロタ」という楽しみ方が普通だと思うんですが、それにしたってこの作品は設定が身近すぎて、距離を置くのも難しい・・・今の増刊誌なんて可愛いもんです。
  • ひさわゆみ 『さわってほしいの』(近代映画社 NEW CHAPPY COMICS)
    • 最近少しマシになってきたTL誌・上級恋愛ミントでの昔の掲載作をまとめた単行本。ひさわ先生も4冊目ですね、前作からあまり間をおかずに刊行されてファンは嬉しいです。『いけないっ』シリーズ2作に比べればエロケバい表紙&タイトルと内容の乖離という問題はかなり解消されてると思うが、  お願いだから雑誌掲載時の扉煽り文句は消してくれよ・・・・というのは自分だけ? 単行本くらいゴシップ誌的な編集のノリは排除して欲しい。作者本人が書いてるなら別だけど。それと、作者HPがあるとはいえ作者コメントが無いのは寂しい限り。近代映画社はもう少し本腰入れてもいい筈。
    • 収録作では前2つが良かったです。友達ときゃいきゃい言ってて精神年齢も若いのが和むんだな。本能(感情)が突き動かすところの神秘、みたいな特徴は多少大人びたキャラの方がはっきりするけど、この収録作ではその帰結がどうも都合よいというかビッチな風にも取れてしまうのが惜しいと思いました。

いいマンガ描く人なので応援していきたいが、しかし出版社側がなああ。