Stray Toasters

Stray Toasters

    • 10日ほどかけて読み終えた。(約220ページ)。最後80ページは昨夜布団の中で読破。非常に疲れるコミックであった・・・大体毎日の就寝前に読んでたんですが、必ず夢見が悪くてね。先週末はこの本をちょっと読んでは休憩(なんだか気分が悪い)、ちょっと読んでは休憩(横になってみるがまんじりともせず)を繰り返して時間がすぎていった。
    • 今まで読んだ英語のなかで骨折れ度を格付けすると、
      1. 某Univers of English (つっかえながらも苦にせず読める)
      2. 英語の学術論文(英語を解する分には比較的容易だが、内容を理解する気にはなかなかならない)
      3. A Song of Ice and Fire (いわゆる英語小説の骨折れ度がこのくらい)
      4. 本作
      5. To the Lighthouse (ウルフさんの本は和訳でも頭痛・睡魔との戦いだ)
    • このコミックは面白いはず、という確信がなければ読み通せなかった。そして確信は正しかった。こういう面白さを海外コミックに期待していたんだありがとう。効率度外視の手間ひまで水彩絵の具も油絵の具も色鉛筆もカラースプレーもを使いまくって何枚も何枚も重ねて豪華に目を楽しませてくれる絵物語ってやつ。採算度外視の作りこみで自家中毒になりかけたくらいに自分の世界を表現しまくってる圧倒的な説得力と存在感ってやつ。これはカウンターでもコラボでもない純然たる芸術作品だから、日本のマンガ(笑)なんかと一緒にしてもらっちゃ困るんだよね、という自信たっぷりの面構えってやつを。
    • (ネタバレしない程度でおぼろげに理解したあらすじ)犯罪心理学者である主人公・Dr.Egon Rustemagikは過去に精神病院に入れられており、著作で名を馳せている現在も幻覚・アルコール中毒に悩まされている。そんな彼に、Deborah Disslerという女性殺害についての捜査協力依頼が下る。Disslerが精神カウンセリングを受けていたというAbigail Nolanの元を彼は訪れるが、偶然にもAbigailは彼の元妻であり、仲違いしているため捜査には非協力的だ。というのもAbigailは現在迷子の少年Toddを保護しており、その子の世話で精一杯なのである。そしてToddが件の殺害事件に関係していることなど、彼女は知る由も無かった…… こうして書き出してみると自分がいかにストーリーを追えてないかよく分かるぞ。登場人物ごとにモノローグの地の色がEgonなら青、Abigailならピンクと区別されていることに注意すると若干読みやすくなる。ていうかそれに気付いたのが昨夜だったんですけど。
    • 魅力を一言で言ってしまうと、「格好良い絵遊び」ということに尽きる。様々な絵柄と画材でコマが進んでいくのを眺めているだけでも、とても良い物を見ている気分にひたれる。サイコパスな殺人者の描写、病的で象徴的で訴えかけてくる画面が素晴らしい。話は話半分です。しかしこの絵でコミックを展開しているということがめちゃ豪華なので、正直ストーリーがよく分からなくても問題は無いくらいなのだった。てな感じで、作中の英語が6割強しか理解できなかったことへのエクスキューズにしたいが、率直な思いとしてこの本を読めてよかった。海外のコミックでも自分が面白いと思えるものがあると分かったのは大きい。



さて、とりあえず前に購入した3冊が読み終わったら次はどうするか? 自分の中でちょっとブームが来ているので、一過性のものにしろ、もう少し足を突っ込んでおきたい。右も左も全く知らないジャンルで面白そうな本を探すのは楽しい。読んだ本が本当に面白ければもっとよいのだけれど。結局海外では原作と作画、WriterとIllustratorの分業が普通で、1人でやってる作品の方が珍しいのかな。それだとちょっとつまんないけど。Bill Sienkiewiczがストーリーから1人で手がけた作品はどうも Stray Toasters だけみたいだし、原作付きの作画としてシリーズ通して1人でやったのは、 Elektra: Assassin (原作Frank Miller)くらいみたい。バイオグラフィー自体は沢山あるので、作家主義で通したい身としては幸いというべきか、そもそも海外コミックにおいて作家主義というスタンス自体あまり意味を成さない気もする。


amazon.comでgraphic novel各ジャンルのbestsellingを上から見て目星をつけてみる。上位はニール・ゲイマンの「サンドマン」シリーズが半分くらいを占めてて、バットマンバフィー(ヴァンパイアスレイヤー)と、あとはVフォーヴェンデッタとリーグ・オブ・エクストラオーディナリー・ジェントルメンが時々顔をのぞかせる。アラン・ムーア知名度、支持率は半端ないな。しかし歴史的作品が読みたいわけではないんだよなー。「Y: The Last Man」は近々映画化するらしいし、どうも主人公がカップラーメン食べて生きてる無職青年らしいので面白いのかもしれない。こういうときはamazonのLook Insideが便利だなー。「The Umbrella Academy」も気になるなー。


と、こうやってamazon立ち読みをしているのが一番幸せなのかもしれない。普段amazonの評価なんて参考にしないので、ど素人として振舞えるのは新鮮。