思ったよりマイブーム(死語?)が持続しているのでカテゴリを作ることにした。何と言うか、海外のコミック事情って全然知らないわけで、自分は検索厨なのでそういうの探すのスゲエ楽しいんですねー。あと、向こうのベストコミック年間ランキングでひょこっと日本の当たり障りのないマンガが混じってるのを見つけてはニヤニヤしてます。


http://www.24hdelabandedessinee.com/public/list2010.php
フランスのアングレームで2008年から開催されている、プロ・アマ・学生らによるバンド・デシネのイベント。24時間で24ページ以内のバンド・デシネをテーマに沿って描く、耐久制作大会らしい。計370作だかの作品が上記サイト上で閲覧可能(アドレスの"list2010"を変えると2009, 2008年の作品もどっちゃり出てくる)。


制限事項として「セリフを用いない(使ってる作品もちらほらあるけど)」があるので、言葉の壁はそれほど問題にならない。夜中のテンションで、左柱のProfessionnelsの作品67作に目を通してみました。テーマは「海賊」のようです。

  • Boulet
    • 郷里に帰った青年が子供時代の海賊ごっこの日々を回想する話。プロの中でも1,2を争う完成度を誇る。オチも見事。Bouletさんはこの界隈?では知られた人らしい。2009年の作品がかなりいい。主人公の女の子がキュートだ。
  • Appert Etienne
    • 彼女とケンカしてしまい、気を紛らわせようと描いた落書きに吸い込まれて・・・という話。仲直りの仕方が素敵。
  • B-gnet
    • 突飛な方法で金を儲ける水夫の話。突飛っていうかグロ注意だが、絵柄はほのぼのしてて笑ってしまう。
  • Ferran Sébastien
    • エログロナンセンスと三拍子揃った軽いノリの女海賊の話。フランス人はエログロ大好きだなあ。この人も前年度の作品の方がギャグが冴えてていいね。ていうかお前ら女体描きたがりすぎだろ。
  • Jouvray Jérôme
    • 人魚に一目ぼれした海賊船長の話。オチがひどいぞ! 文化の差を感じる。
  • Kha Alexandre
    • いたずら小僧を誘拐した海賊の話。おっさんの優しさにちょっと泣ける。
  • Lasth
  • Macan Darko
  • Park Yoon-sun
    • 韓国のBD作家(?)によるオリエンタルなタッチの作品。24ページの尺で複数の視点から物語を描いている。
  • Patil Amruta
    • ノアの箱舟をアレンジした作品。色鮮やかなコラージュがとても印象的。
  • PMGL
    • 海がめのスープ(ていうか亀のスープ)が飲みたい海賊船長の話。微妙な表情がいい味出してる。
  • Sécheresse Loïc
    • 夢見がちな女海賊の話。アクの強い絵柄で、作者blogの販売イラストはなかなかエロス。
  • Sourya
    • 日本の創作同人でこういう絵柄ありそう・・・ 同じ作者の手がけたアニメ(Youtube)なんかもある。更新止まってるぽいけど。
  • Zviane
    • 海賊の彼女と暮らすサラリーマンダンサー(?)のシニカルな話。

色々と読んで、良くも悪くも口当たりの軽い作品・クスリと笑わせる作品が主流のように感じた。バンド・デシネといっても全てが全てメビウスなわけではなく、新聞風刺画の延長にも沢山あるような。もう少し短編至上主義的な感性だけで作ったようなものを期待してたけど、そういうのはなかった(少なくともProfessionnelsには)。プロが24時間で24枚描くとなると危ない橋はわざわざ渡らないかなー。かといってアマチュア・学生の300作品からそういうのを探す気は全然起きないけど。


そして面白げな作者を見つけたからといって、フランス語が出来ないのでその先のステップがあるわけでもないんだが・・・まあいいや。
セリフ無しのコミックというのはカッコいい言い回しを使うと、ある意味で言葉の壁から最も自由な物語なわけで、そういうのが沢山読めたというのがよかったんじゃないでしょうか。