• 原作/倉田英之×漫画/星樹ハンド×レッド
    • サイン会にも行ったREX期待の新人さん初単行本。マガジンZ辺りでアニメのコミカライズをしてた人らしいけど知らなかった。REXもなかなか上手いこと拾ってきたと思わせる良い絵です。親友に裏切られ、100年に1度10日間のみこの世に存在出来る呪いをかけられた主人公が毎話100年の長きを省略して目覚めては人々とふれ合ったり今や狡猾な魔術師となってこちらの命を狙ってくる元親友とバトったりするお話。設定は面白いけど爽快にすっ飛ぶ時間軸のため各話が完全に独立してしまうのが少し残念。ていうか第1話の割りと深く作り込まれた舞台がすぐに無関係になってしまったのが残念。でもその辺は2巻以降で過去話が始まったりして変わってくるのかも。ヒロインもようやく出てきたので、これからに期待。あとテイルズ漫画との差別化も頑張って。単行本に関しては表紙が特殊加工・帯が斜め・デザインも結構人目をひいててグッドなのでREXもそれなりにアテにしているのだと感じました。装幀は他にリュウやエイジPureをに関わっている伸童舎というところ。
  • スタニスワフ・レムソラリスの陽のもとに』
    • “はっきりいうと、この作品のテーマはありふれたテーマ    「人間の認識の限界」です。”  というのがレムの(かなりかいつまんだ)前書き。惑星ソラリスの知性を持った海(厳密には知性があるかないかも不明)を解明しようとする科学者達に降りかかる人知を超えた謎と悲劇、という話だが、個人的にこの作品にはある意味で逆説的に認識の無限性が示されているように感じた。それと、もっと特徴的なのが完璧なまでの自己矛盾を描いたドラマだということ。詳しくはとても説明できないのだが、中盤の展開はSFらしい発想や設定に支えられていながらも「人間の」描写が圧倒的で素晴らしい。この後に描かれた『砂漠の惑星』は、今思うと前作の影響を結構意識してるような。具体的には「惑星レギスⅡの知性を持った砂漠」というのがミスリード。非常に面白い傑作だと思うが、ラストの締め方がいかにも素っ気無い渋さで物足りないというか、どうしてもカタルシスを求めてしまう。娯楽作品じゃあ全然無いですね。『火の鳥・未来編』のタマミ(地球外生命体)を連想しました。あと上遠野信者なので当然『ナイトウォッチシリーズ』の虚空牙も連想しました。他の著作も読まねば。でも国書刊行会はなかなか手が出ません。