• ふじもとゆうきキラメキ☆銀河町商店街』2巻
    • ふじもと先生の一番の特徴は、恋のライバル当て馬や陰謀キャラが心根では善人に描かれてて、ともすれば主役より爽やかに変貌する展開の新鮮さでしょうか。脇役の横恋慕もストーリー上の設定とはいえしっかり一途に描かれており好感が持ててしまう。凄く性善説。時々読んでいて恥ずかしくなるくらい良い人だらけ。ちょっと対象年齢が下がる勢い。だがそれがいい。ただ最近はご多忙のようで、同時収録のデビュー作の絵柄が新人なりにすっきりとまとまっている分、余計に現在のアシスタント多用ぷりが目立つ。連載当初からの小学生的にやんちゃな連帯の幸福感と全くスレてない純真な設定が、いつ終わってもいいようなヌルい内容とよく合っているので、このままだらだらと続いてほしい。これは厭味でもなんでもないです。
  • 都留泰作ナチュン』1巻
    • 第1話のカラーページぐらい再現してやれよ講談社!折角綺麗な蒼い海の見開きだったのに。世間知らずの学生が1本のビデオに天啓を見出し暴走しながら、まだ不思議な習俗の残る沖縄マケイ島の生活に徐々に染まっていく話。と思いきや地元の甲斐性なしである「ゲンさん」の家に転がり込んで、陰鬱な嵐の夜も華やかな繁華街での夜も2人で愛の巣を育んでいくように読めて興奮してしまう。描き下ろし漫画だって「ゲンさんといっしょ」ですよ。比喩でなくただれた家だったり(主に台所が)するんですが。先生はたしかジタイ愛なのですよね。もっと別なことを言うと、自分の壮大な計画に目が眩んで冷静だけど言動のおかしい主人公が時々情にほだされて泣いたり赤面したりするのは何とも情けなくていいですね。会った当時はなんだかゴロツキなコワモテだったゲンさんが親しくなるにつれ根暗で気弱なことを言うのが何とも人間臭くていいですね。あと海洋SFで近未来で未開の島に残る奇妙な風習の影と本土沖縄のアングラな空気がいい味だしてると思う。講談社はちゃんと続けさせるようよろしくメカドック
  • 土橋真二郎『扉の外』
    • 周囲の言動に自分が縛られてると感じながらも抜け出せないでいることに苛立ちを憶える主人公に全セカイのニートが共感!まあそんなことはどうでもいいんだが、肝心のクラス対抗戦略シミュの部分がぞんざいなのが残念。占領されたクラスは実はみんな死んでますとか、もう少し危険性を仄めかしたらよかったんじゃないでしょうか。実際敗者のデメリットが娯楽を制限されるだけなら、負けた瞬間に腕輪の意味が殆ど無くなって外す人が出るって。主人公の周りの女が全て主人公に理屈抜きで惚れてるのは凄いなあと思いました。あとイラストはとても良かった。キノを友達に借りてイラストだけ全部見た自分が言うのだから間違いありません。あと「自立心の無いニートは女に飼われてろ」というメッセージはとても心に響いた。このシチュエーションだけはガチ。掴みだけならこの作品のほうが大賞作の『ミミズクと夜の王』よりも上なのは確かだが、全体的な面白さではどんぐりの背比べなので、どうせ不作なら懐を広げる意味で異色の『ミミズク〜』の方をアピールしようというのはとても正しい気がします。
  • 水月郁見『護樹騎士団物語 螺旋の騎士よ起て!』
    • 氷と炎の歌』第2部がアマゾンから届くまでの暇つぶしで購入。2chラノベ板大賞スレでこの作品を『氷と炎の歌』といっしょに褒めてる人がいたので。『僕はイーグル』の作者ということで流石は超一流の中二イラストレーター鬼頭先生だぜ(意味不明)と思ったが巨大騎士型ロボというやつにもっと熱くなれる人でないとつらい。少なくとも第1巻は、展開が遅いし不思議な力による導きの回数が反則的に多くて興ざめ。あと擬音語の連発がダサい。しかし上の電撃よりは実力があるとフォローならぬフォローをしときます。
  • ジョージ・R・R・マーティン『タフの方舟1 禍つ星』『2 天の果実』
    • 氷と炎の歌』第2部が届くまでの暇つぶし2号。同じ作者による純粋なSFだが、オチの弱さが苦しかった。タフのへりくだりまくった厭味発言を読んでるだけでも十分楽しいが、連作中で一番面白かったのはしょっぱなの「禍つ星」だったのでやっぱ娯楽作が得意分野な人なんだなあと思った。ローカス賞ばかりというのも頷ける。

で、肝心の『王狼たちの戦旗 氷と炎の歌2』だが、ハードカバー上下巻で1冊450ページ2段組が思ったより大ボリューム。ていうか全然ページが進まない!でも全ページ面白い!これが信者。あと1ヶ月ほどで文庫化するらしいが、待てるわけねー。