第1部p.148-180


3章しか読んでないのにどの章も長かった。そして結構読むのに手こずる箇所が多かった。ちなみにペーパーバック原書の1ページは『七王国の玉座』文庫版でほぼ2ページに相当します。
ストーリーではベンジェン叔父が帰らぬ人となり(生きてるといいなあ)、ジョンは黒衣ブラザーズと打ち解けてゆき、ティリオンはナイトウォッチの窮状を知らされて壁を去るところ。あとロバート王の浪費による財政破綻がやばい感じでサー・アリザーとドナル・ノイエさんが出てきました。「夏の臭いのする青二才」「夏草のような青二才」というお馴染みの表現も出てきました。
私見氷と炎の歌』ハマり度:
Lv1 相手に対しマイ・レディ、マイ・ロードと語尾につけたくなる
Lv2 異形人に食われちまえという罵倒文句を使いたくなる
Lv3 若く無知なことのたとえに夏草のようだと言いたくなる
Max 感嘆したときに「おう」と言うようになる

というわけで以下英語と訳と比べながら思ったこと。

  • 父上は“壁”がどのようなものか知っていたのではないかと、ジョンは思った。
    • 些細な違いだけど、恐らくこれは誤訳。元の文は "Jon wondered if his father had known what the Wall would be like." なのだが、ジーニアス英和辞書様によると wonder if 〜〜 は if 節の内容について中立な思案・または否定的な疑問を表す。だからここでは「父は“壁”の劣環境を本当に知っていたのだろうか。(いや、知っていたにちがいない。そう思うと、いっそう惨めになるばかりだった。)」という具合に、心情では「僕が“壁”に行くのを父さんがあっさり許したのは、“壁”がどんなにやばいか知らなかったからだよね?ね? → …でも知ってたんだろうなあ、知ってたのに敢えて放置されたのか俺って…」と惨めさが伝わる。if 節を肯定推量するとこの落差が出ないので思い悩む様が出てこない、と思います。
  • まるで七つの地獄みたいに痛かったよ。
    • "It hurt like seven hells," 要するに「チョー痛かった」という意味。 what the hell is it? とか shut the fuck up! とか、語気を感情的に強める表現の一種で、この物語世界特有の言い回し。「seven hell」を七つの地獄と訳しているのはここが最初だけど、それまでも何度も出て来てます。
  • 雪の中であの幼獣を見つけたとき、ジョンは何と言ったっけ?
    • "What was it that Jon had said when they found the pups in the snow?" 「仔狼」じゃ駄目なのか・・・幼獣っていうと結構獰猛な語感があるんですが。
  • 「3.3人でね」ティリオンは欠伸をしながらいった。
    • "Three and a third," Tyrion said with a yawn. 「\normalsize{3\frac{1}{3}}人でね」と訳すのは余りにもわざとらしいから、端数は切り捨て。
  • もし、われわれが準備していなければ、全員が悲惨な目にあうだろう
    • "The gods help us all if we are not ready." あれ、「準備してなかったら神々が助けてくれる」・・・? どうも "Gods help you!" (哀れな奴!)という決まり文句と同じ使い方みたい。

ティリオンとジョンの友情はほかほかし過ぎてて萌える。