• 原作/藤野千夜 漫画/志村貴子 『ルート225』(講談社 シリウスコミックス)
    • 元の世界とよく似たパラレルワールドに迷い込み、両親と離れ離れになってしまった姉弟の話。『敷居の住人』の頃の読者を突き放し振り回すような冷めた演出が生きてて、とてもよかったと思います。最近の志村先生とは毛色がちょっと違うので、シリウスが敢えて狙った方向性なら拍手を送りたい。孤独でドライな世界、淡々として諦観も漂うのに胸かきむしる寂しさが見え隠れして凄く好きなんですが、この雰囲気は原作から来るものなのか? と気になったので原作も購入。章毎の副題は共通だけれど内容はそれぞれ少しずつ異なっていて、上手いアレンジというか再解釈がされているものと捉えました。平行世界がキーなのでその辺は深読みしてみても面白いかも。
    • マンガ版の方がメリハリのあるとはいえ、流されつつ成長していくしかない子供という基本的に暗い展開なんですが、志村先生の萌えツボはやっぱり「友人たちとの適切なコミュニケーションが上手く取れないことを1人悩んでしまう気遣いチビ」なのだと思うとそこだけは救われる気分。