2008年のマンガランキング(1/11)についての解説その1


遅くなりんした。08年度のランキングはかなり難産でした。ハーレクインやグリム童話まで手を出してのラインナップは日頃読んでいるから作れるわけですが、どうも最近は忙しいし、これからあと何回、ここまでのレベルで仕上がったランキングが出せるかなあ。という不安があるので、「何を考えて作ったか」のプロセスを後々振り返れるようにしておきたいという思いで、長々と説明しておきます。思考メモなので読みにくいです。そしてブログ読んでくださる方に多少参考になるであろう、個々の作品説明と順位はまだなんですけど。


まず、絶対に入れるつもりだったのがこれら。
宇佐悠一郎 「放課後ウインド・オーケストラ
高橋秀武「トクボウ朝倉草平」
青本もあ「おまかせ精霊」
雨隠ギド「ファンタズム」
○成瀬芳貴「兄弟 −BROTHERS−」
小林尽「School Rumble」
○ののやまさき/土屋計「エンマ」
久米田夏緒「携帯寓話」
○原作/藤野千夜 漫画/志村貴子「ルート225」
室井大資「犬神人 -イヌジニン-」
刃森尊ネイチャージモン
御徒町鳩腐女子っス!」
○コナリミサト「ヘチマミルク」


逆に、実際にはランキングから漏れてしまった候補作はこれら。


箱宮ケイ「できそこないの物語」
カトウコトノ将国のアルタイル
騎崎サブゼロ騎崎サブゼロ作品集 世縒りゆび」
ひらりん「のろい屋しまい」
世棄犬世棄犬廃品集」
オノナツメ「Tesoro」「COPPERS」
今井哲也ハックス!
THE SEIJI「WAVE」
パーダ/五十嵐洋平「磨道」
岩本ナオ雨無村役場産業課兼観光係
シギサワカヤファムファタル」「溺れるように出来ている」
あたらしい朝・ブロンちゃんの人生相談室・中村明日美子「同級生」
赤みつ「BWH」
新川直司辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」
藤井みつる「キライ先生」
サトーユキエ「ノーバディクライ」
遊行寺たま「+C」
新川直司「冷たい校舎の時は止まる」
曜名「夢見る乙女の味方です!」
藤宮あゆ「僕らはいつも」
川杉こゆり「ダーリンはおまけつき」
函岬誉「嫁姑の拳」
青桐ナツ「flat」
渡辺静「CHIMES」


最後の「CHIMES」は07年のランキングに15位で入れたので枠外にしたけど、連載終了した08年に入れた方が良かった。反省点。小川幸辰の「エンブリヲ」も、ランキングに再録枠があったら入れていたところ。
50作オーバーくらいの作品をどう絞ろうかということで、最初に「1雑誌1作家から1作品」を検討。

シリウスからは4つのうちから1つにどうしても絞れず、上2つに。個人的に最近の志村貴子は全然評価していなくて、近作で面白かったものというと『どうにかなる日々』まで遡ってしまう状態だったけれど、ルート225は殺伐?としていて原点回帰の方向性になっていたのが好き。「空色動画」については、作品内容の類似からアフタヌーンの「ハックス!」と競った。箱宮ケイカトウコトノはまだ連載中なので、今回は外して連載終了時にご登場願うことに。特にアルタイルについては大変面白いけれど、始まったばかりの今よりも終わるときは更にレベルの高い作品になっているだろうと望みをかけました。「今ランクインさせないことで未来に希望を託す」とか本気で考えているので。まあ我ながら変なこと言ってる気がしないでもないが、シリウスはこの作品を大団円で遺恨無く終わらす義務があるので、そこんとこよろしくねって感じで無言のプレッシャーをかけてるんですよ。

夏頃まではひらりんをランキングに入れるつもりだった。くおんの森とサブゼロ先生とどちらにするか、最後まで悩んだ。結局後者は今年リュウで仕事していないし、同人再録だし、リュウには再録懐古よりも新人を育てる方で頑張ってほしい(騎崎サブゼロだって新人の部類だけど)という理由をつけて釣巻和に。


世縒りゆびをどうするかは「掲載時期が古い作品枠」でどう扱うかでも悩んだ。具体的には次の4つ。

世棄犬博内和代はそこまで熱心なファンでないこと。「TESORO」の内容は好きだけど節操のない収録方針・IKKI本誌でのバリュー感の弱さで激しくマイナス。という消極的な理由と、逆に収録作品を自分が最も把握できていなかったので新鮮に楽しめたという点を加味して「冷食捜査官」を選んだ。

  • Judy
    • 川杉こゆり「ダーリンはおまけつき」
    • ○ひなた「スイート10 スイートHOME」

ヤングサンデーよりも残念なジュディ休刊で、本当は休刊号をランクインさせたいくらい。川杉こゆりの単行本を最初は考えていたけれど、前作にやや見劣りしたこと・移転先のめどがあるらしいこと・ひなた先生は単行本もまだなので取り上げておきたい、という理由で。それと休刊つながりで
原田梨花「もうきみを愛していない」 を入れることを決心。

  • チャンピオン烈
    • ○どれえじゃっきい「危さん」
    • THE SEIJI「WAVE」

「WAVE」を知らないチャンピオン読者はモグリ。でも連載中なので、単巻完結した「危さん」を優先した。


次いで「1巻の現段階で入れるべきか、それとも完結時に評価した方が良さそうか」を判断。
○「トラウマイスタ
○「ルミとマヤとその周辺」
○「好きっていいなよ。」   がこの辺りでランクイン。

これらは「1巻の内容でランキングさせることにあまり積極的な意義を見出せない」と感じたところ。「くおんの森」はそれでも登場時の活きの良さに目をつぶれないし、それにこの作品は完結したからどうだという意味合いはもっと弱いように思えたので保留。「とろ鉄」も今年の箸休めショート作品で選ぶなら他に無かったので入れた。「つぐもも」はコミックシード休刊&WEBコミックハイ!創刊の中継ぎ代表として期待をこめてランクインに。おりもと先生は最近何かとチャンピオンRED・同いちごに踊らされる輩が多いので入れるのがためらわれたけど、エロからの登用の中でも古株で、かつ背水の陣を敷いて喰らいつく姿勢は一線を画すと思って続投。
外した作品については、モーニング2は去年プッシュしたから「COPPERS」はまあいいや・「ファムファタル」は上手いけどやっぱり完結時に取り上げたい・箱宮ケイは2巻が出ないと何ともいえない・「flat」は萌えだけど冷静に考えると微妙・岩本ナオの連載作は正直そんなに楽しめていない、といった具合。「磨道」はWEB原作の方も味があって好きだけど、年間ランキングとしてそんなに太鼓判が押せる内容ではないですね。

厳しめで選定をやっていたらで30作に満たなかったので、BLの力を借りてみる:

    • 雪野ツナコ「little bird☆little love」 
    • ヤマシタトモコ「恋の心に黒い羽」
    • 千代古レイト「今宵焦がれる胸の棘」
    • ○テラシマ「ポラリスまでの距離」
    • ○岡田屋鉄蔵「タンゴの男」

どれも好きな単行本だけれど、一般ランキングの中で渡り合ってもらう(?)ことを考えるとツナコとレイトは萌えの比重が強かったのでリタイアしてもらった。ヤマシタトモコは最近仕事をしすぎなので、敢えて自嘲気味な「ふ」という笑い何千、何万回とともに訳知り顔で消えてもらったよ! あと御徒町鳩が消えて
○松本ミーコハウス「恋のまんなか」 に変わった。

ワースト争い:

夏頃は「ブロンちゃんの人生相談室」か江口寿史「ゼロの笑点」で考えていたが、完結をしてなお終われなかったスクールランブルに。

ほかに残った候補作で切ったもの:

  • 藤井みつる「キライ先生」 TLジャンルでは一番だったけど・・・
  • サトーユキエ「ノーバディクライ」 連載を始めたのでそちらで評価しよう
  • 遊行寺たま「+C」 前作よりも好きだけど、1巻で判断できなかった
  • 曜名「夢見る乙女の味方です!」 流石にマイナーすぎる
  • 藤宮あゆ「僕らはいつも」 これも完結時にどうなるかに興味がある
  • 函岬誉「嫁姑の拳」 バカマンガを入れる雰囲気でなくなってしまった

新川直司辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」は年末に出た単行本では他にランクインさせたいものがたくさんあったので、発行日をあまり偏らせたくないという心情によりカット。赤みつ「BWH」(デザート☆BABY読みきり)は未単行本化枠としてJudyのひなた先生と迷ったが、Judy休刊を背負うひなた先生に比する大義が無かったのでカット。


まだ30作に満たなかったので最後にマイナージャンルから参戦願ったもの(加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを):

というのが入れる入れないの理由でした。