• WATCHMEN  ALAN MOORE, DAVE GIBBONS (ShoPro Books 小学館集英社プロダクション)
    • ネタバレあり。
    • 通しで2回読んだ。散々言われてそうですけど、アンチ・スーパーヒーローものと受け取りました。アメコミヒーロー知らないけどな。黒幕が登場人物のなかで最も端正な完全超人のデザインを取っているところ、「予定? ダン、私は昔の活劇映画の悪役ではないんだ」のところ、最後にイカの怪物が出てくるところは露骨に。でもイカってむしろハリウッドだっけ。アメコミ/アメコミヒーローにコテコテの偏見がある者から見て、このコミックは出るべくして出た、誰かがこういう話描かなきゃ衰退して終わるよなという気がする。86,7年に出たことはすごいが、そこを転期としてアメコミヒーローがどう変わったのさというと、本質的に変わらなかったのかそれともまさに終止符を打ってエピローグ状態なのかなあ。原作者自体、もうスーパーヒーローものというジャンルに思い残すことはない、あとは好きな奴がやれ俺はいち抜けた、とか言ってるし。
    • 章でいうと、Dr.マンハッタン回である"WATCHMAKER"が最初から最後まで好き。他にもナイトオウル2世実況中継featuringオジマンディアスや、熱力学的奇跡がネタ的な意味で印象に残ってる。セックス描写の暗喩がスーパー下ネタでやばい。
    • TMRのレビュー形式なら9点/10点つけて、最後の方に難癖つけそう。具体的にはイカにまつわるくだりは作中劇から超能力者の脳味噌まで、全てが他の内容に比べて見劣りする。その関係で黒幕の狙いというかオチもそれまでと比べて弱い。まあ難癖です。それ以外のストーリーや演出、作画は素晴らしい出来で読み応えがあった。登場人物も、オジマンディアスが昏いでもないただ変質したよく分からない優等生で、ラストのために必要な説明をして用済みになっていたのが残念だったくらい。アメコミヒーローものとして、やるべきことをやってのけた、更なる展望を開いた/又は完膚なき決定打で閉じた、という点で超すごい作品。好きなキャラはホリス・メイソンとモーロック。ジジイ結婚してくれ!
    • 平和になって治安が良くなったらヒーローって意味あんの? という問いは大事ですよね。上遠野先生のブギーポップもそういう小説ですね。みんなブギーポップ読むんだ。
    • そりゃあオジマンディアスだったらシェリーの詩を引用するわな。つーかその印象が先にあるから、ヒーローの名前には相応しくないのに、と思いながら読んだ。みんなマーティン先生のフィーヴァードリームを読むんだ。