• 神奈アズミ『快感☆サプリ』(日本文芸社 ニチブンコミックス)
    • 携帯配信のWEB花恋で第1〜3話、その後に雑誌花恋で4〜6話掲載で単行本化の作品。幼い時の両親の離婚で離れ離れになっていた弟が、11年ぶりに再会したらなんかイケメンになっててやたら懐いてくるし流されっぱなしで。という携帯配信分の気楽なストーリーに対し、3話の最後で「まさかこんなオレらにも予想外の展開が待ってるなんて 思ってもみなかったってゆーかこのまま終わるワケないしね!」という強ーいヒキで「この2人の続きは雑誌花恋7月号に!」的な誘導(文面想像)。そっから先は、弟のイヌ化&兄依存っぷりは精神不安の反動であって、実は安定剤も飲んでましたという重さをみせる。よく見ると、各話タイトルには錠剤が描いてあるし、タイトルのサプリってそんな暗示が・・・ と書くと「愛と勇気のかしわもち」みたいだけど、鬱展開はありません。
    • 多田由美ライクな絵柄がなかなか魅力的で、キャラクターの表情も豊かな新人、細長い手足と指がいい感じに趣味的で絡みを描いてもサマになってるし女の子も可愛い(←重要)、という意味で雑誌掲載時に気になっていたが、単行本で読むと携帯配信から雑誌版へ移行することによる内容の変化が興味深かった。「ってゆーかこのまま終わるワケないしね!」=「流石にこんな甘々だけで3話も伸ばしてオシマイってのはワシらの面子が許さねえってもんよ」。花恋は正直創刊当初から全然ぱっとしないBL誌だと思ってきたが、最近の方が元気いいかもね。白泉社silkyなんかは「この続きは携帯で」とやるわけだが、本作のように携帯読者層を雑誌の方に引き寄せようという方が、個人的には好ましく思える。その辺は単にどちらのメディアで相対的に読者層が薄いかという問題なのだろうけど。千代古レイト先生もこういう風な携帯&雑誌にまたがった連載をして欲しい。
    • ちなみに演出も携帯・雑誌で違いがあるかしらんと思ったが、どっちでもナナメ鋭角コマが目立ち、オーバーラップ多用、配置も結構変則的なのでコマ割レベルでの区別はしていないみたい。