イグナッツ賞やアングレームの受賞作リストを見るのは毒だ・・・ついやり込んでしまう。
以前感想を書いたBlue Pills: A Positive Love Storyのプレビューがグーグルブックサーチで読めたので、リンク貼っとく。しかし上手いなー


The Arrival by Shaun Tan

The Arrival

The Arrival

  • 家族と離れ、海の向こうの国へ単身で渡航する男性。不安と孤独をセピア基調のやさしいタッチで描く。
  • 文章が無いので20分ほどでサラリと読めてしまう。1コマ1コマ丁寧に描かれた絵を大事に読み取って、その風景や彼の心の中に思いをめぐらすのが楽しい作品。なので、出来るだけ先入観を持たずに読みたい。あらすじも最小限に留めてみました。以下は若干のねたばれあり。


  • ショーン・タンはオーストラリア人の母親とマレーシア華僑の父親を持つ、豪国籍の華人絵本作家という肩書き。日本では『レッドツリー―希望まで360秒』(原題"The Red Tree")が出版されている。本作The Arrivalは2008年にヒューゴー賞の関連書籍部門にノミネートされ、同年のアングレーム国際漫画祭で最優秀作品賞を受賞している。*1 作者自身も今年、2010年にヒューゴー賞プロアーティスト部門を受賞し、世界的に注目されている、はず。渡航先の街で生活する人々の暮らし、動植物の生態を精緻に描いた力量と同時に、作中で使われている道具や建物についても「目新しくもどこか懐かしい」アイデアとデザインが光る。他の作品は読んでないけど、そういったセンスオブワンダーが十二分に満たされるという意味で、SF作品ともいえる。表紙絵がどうにも地味というか枯れた風合いで敬遠していたが、中身は見かけより生き生きしていて、描き込みも結構細かくて巨大建造物を眺めたりやウォーリー的な楽しみ方も出来る。美術書を手元に置いて時々悦に入るつもりでぜいたくな気分で買おう。語り過ぎないので説教臭さも無く、シンプルなストーリーが綺麗にはまる。当たり前だけど絵本は強いね。
  • ぜいたくと言うと、こういう本は青山ブックセンターで立ち読みしてから買うかどうか決めるくらいのぜいたくが10年前なら出来たんだろうけど・・・

*1:特に意識してなかったといえば嘘になるが、2003〜08年の間の同賞受賞作は、水木しげるのんのんばあとオレ』以外読んでて、ブログで紹介するのは3つ目になる