そらちゃ(空の上のおもちゃ)の感想でも。ネタバレは反転で。

まあまあ面白かったです。半端マニアソフトじゃなくてこれがぽっと出サークルの初作品なら、「面白かった! 今後も注意しておくか!」くらいに面白かったです。が、このサークルは「冬は幻の鏡」という前作があるわけで、それと比較すると正直霞みます。「前作より確実におもしろい作品にするつもりですので、期待してください。」という渡辺僚一氏の宣言は、残念ながら僕にとっては達成されませんでした。


分量が足りないのが一番つらいです。前作よりも確実にボリューム減なのにお値段増量は、大したことではないですが少し裏切られた気分になります。バックログ周りのシステムが商業レベルをやや上回っている位なのでそこは驚嘆ですが、今回はCG・サウンド鑑賞などからタイトルメニュー画面に戻る時、毎回OPまで繰り返さないと戻れないのがイライラしました。CG総数も前作が115あったのに、今回は69、6割です。「文章と矛盾した絵(異なる動作をしているとか)」という前作で多かったミスは反省材料となったようですが、その防止でkashmir氏への作画指示が遅かったかどうか。前作でCGコンプのために試行錯誤を繰り返したのが懐かしいです。


分岐(が実質ないこと)に関して。 “ こういうのをやると、「やっぱノベルゲーは分岐があってナンボだよなあ」と思う。大前提として「クリックで読み進める」というのがノベルゲーの鍵だよなあというのはひぐらしでも共通だったけど。『空の上のおもちゃ』も期待しよう。 ” とか僕は前作の感想で書いてます。分岐無しエンド1つという流行に逆らった方針では避けられない感想かもしれませんが、それでもやっぱりラストはもっとカタルシスとか余韻とか満足感とかが欲しかったです。


満足感というと、僕がシナリオに求めるのはセックス、ファック、デストロイ、な文体で描かれる真っ直ぐで変態な恋愛なのですが、今回は主要キャラ5人中3人が変態だったにも関わらず、後半に入ったら誰もファックな人がいませんでした。一番ファックな人の過去回想がやたら丁寧口調で、現在の変態な言動に至るまでの過程がばっさり切れていました。そこが一番知りたかったのに! あの汚い罵倒の裏でどんな乙女なことを考えていたのか(実際そういう設定)闇のまま。そんなわけで煮え切らない感じです。


風呂敷をドバっと広げて回収可能な範囲だけは全て回収した前作と異なり、今作は敢えて放置した伏線も多いようです。上に書いた不満もその関係だと思います。でも次回以降はもう少し親切な方が・・・。結論としては「色々試してみていて今回は僕の好みと合わなかった」ということに尽きます。実際削った箇所も多そうなので(主観)なんとも云えないですが。渡辺氏1人の存在だけで半端マニアソフトは十分過ぎるほど異様なのであって、むしろ意識して普通の普通の話にしようとした方がいい具合にデストロイなのでは、とか思います。独自性は意識しなくていいから、持ち味を発揮することをもっと心がけて欲しかった。


「よかったなあ」と思うのは真柄姫の全て(特にサブストーリー)と、残り2人の変態のやり合い、あと「壊されるならあんたに」発言。それぞれ皆素晴らしく生きたキャラで声優さんも頑張っていたのに、出番が少ない。持ち腐れでした。多分予定では過去話と現代と織り交ぜだったんじゃないかと思うんだけどな・・・。


まだまだ書けるが俺様がいかに半端マニア好きか十分伝わったと思うので終わり。次は「英れたるもの雄々しく」をやりますね。


フユガミ>>>>そらちゃ≒ロマネスQ   自分は本当に大槍信者なのでしょうか。