作家は悪くないよ、ということで。

  • 雨隠ギド 『ファンタズム』(新書館 WINGS COMICS)
    • 人の悪意が形になって視える女の子と、探偵事務所でバイトをしている兄の話。兄の下に居候することになったヒロインが、その能力ゆえに人嫌いしつつも段々と心を開いていく展開です。具体的な妖怪や心霊現象は無いけれど、悪意を越えて友達を作っていく辺りは『もっけ』に近いかも。
    • 雨隠ギドは本作の前からちょこちょこ読みきりを描いてましたが、絵が良い以上の関心はそれまで持ってませんでした。「ファンタズム」は探偵事務所の設定の蛇足さを筆頭に多少まとまりは悪いものの、特殊能力ひとつを軸にこれほど表現の幅がある人だったんだなと読んでいて驚きました。「#0」の頃は背景の透明感が典型的な新書館タッチぽかったけれど、フリーハンドのぬくもりが徐々に出てきて絵柄はまだまだ伸びそう。雰囲気の暖かいのに悪意の形という生々しい題材と喧嘩していないのが力量。冬に新シリーズを描くらしいので楽しみです。

しかし「新しいのになつかしい、胸キュン☆ギドワールドへようこそ」というキャッチコピーは嫌がらせにしか見えない・・・・・